前中期経営計画(第83〜85期)の振り返り
失敗を恐れず、様々なことに挑戦していく、冒険の3年間
9年間かけた「3つの中期経営計画」の中盤として、
成長へのコストや失敗を恐れず、
トーアミグループを成長させることを目的とした様々な挑戦の結果、
「安定した企業」から「成長する企業」へと軌道変更に成功しました。
主な取り組みは以下のとおりです。
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設備投資と意識改革
- 中部事業部 愛知新工場
- 2022年10月に愛知県の中部事業部の新工場が完成しました。延床面積約6,000m2の総2階建てで、安全衛生面に最大限配慮した建物です。生産能力だけでなく多品種小ロットへの対応能力の向上を目指した工場で、既存の工場も含めて、今後の新規事業への拡張余地を残しています。
- 新型金網溶接機の導入
- トーアミが自社で開発した金網溶接機は、生産効率を優先した、少品種を大量生産することが得意な機械がほとんどですが、今回導入しましたのは多品種小ロットの生産が得意な機械です。これらを併用していくことで、お客様のご要望により詳細にお応えできる体制を強化してまいります。
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新市場の開拓
- 株式会社渡部建設の連結子会社化
- 2021年に渡部建設をトーアミグループに迎え入れました。建設現場で溶接金網の施工をお願いするのが当初の目的でしたが、様々な工事の受注や現場のナマの声を活かした製品開発など、大きな相乗効果が得られました。また、廃業する工事会社を仲間に迎え入れたり、九州に進出したりするなど、急成長を遂げています。
- 株式会社SIRCへの資本参加
- 2022年にSIRCに資本参加し、共同研究開発をスタートさせました。同社の電流センサユニットをトーアミの工場で使用して、機械ごとやパーツごとに実際に使用している電流値を測定し、改善による電力使用量の削減値を算出することを目指し、二酸化炭素排出量の算出・軽減も行ってまいります。
- FDテクノ株式会社の連結子会社化
- 2023年にFDテクノをトーアミグループに迎え入れました。主に溶接金網を使用しない建築物に使われる「ファブデッキ」の生産を自社グループ内でも行うことにより、製品を供給する物件を拡大することができました。今後は九州以外の地域への進出も検討してまいります。
- 株式会社中條工務店の連結子会社化
- 2024年に中條工務店をトーアミグループに迎え入れました。九州を中心に型枠工事を主業とする1965年創業の会社で、社員と専属の型枠大工を合わせて約200名の人財を抱え、九州最大級の施工力があります。渡部建設やグループ各社との協業による相乗効果に期待しています。
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組織改革
- 各工場・営業部およびグループ各社位置付けの見直し
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2024年4月1日付にて、トーアミの各工場・営業部およびグループ各社の位置付けを見直します。
従来の「土木建築用資材事業」と「土木・建築工事事業」というセグメント分けに加え、エリアごとに「東部ブロック」「西部ブロック」「九州ブロック」というブロック分けも行い、今まで以上に地域に密着し、かつそれぞれの経営資源をフル活用し、資材と工事の複合営業も含めた相乗効果の実現を目指します。
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ブランドの再構築
環境対策の実施
私たちは環境対策として、以下の取り組みを実施しました。まず、愛知工場、愛知第三工場、および奈良第二工場に太陽光発電設備を設置。これにより、再生可能エネルギーの利用を拡大し環境にやさしい電力供給を実現しています。さらに、トーアミにおける全ての使用電力の半分を、カーボンフリー電力に切り替えました。この変更により、二酸化炭素排出量を大幅に削減することができました。 また、交通手段の環境負荷を低減するための一環として社有車(営業車)として電気自動車を2台採用。将来的には、この取り組みをさらに拡大していく予定です。 最後に、照明器具をLEDに変更することで、電力消費の効率化を図りました。LED照明は従来の照明器具に比べて消費電力が少なく、長寿命であるため、エネルギー使用量の削減とコスト削減の両方に貢献します。
I M P R E S S I O N
以前のトーアミは、長年積み重ねた信頼と実績に基づいた業容で、財務的に十分に安定した会社ではありましたが、同時に、大きな変化や成長ができない会社でもありました。社員の皆さんはお客様のために、一所懸命に日々の仕事を頑張っていましたが、まるで下りのエスカレーターをひたすら上り続けているようで、同じ位置にいることが精一杯、少し気を緩めると一気に堕ちていく、そんなイメージすらありました。
そこで2018年にトーアミグループは、「3つの中期経営計画」を9年かけて実行し、生まれ変わることを決意いたしました。
最初の3年は準備期間として、まずは足場固めを徹底すると同時に、将来像の研究、その為の調査などに費やしました。また、新たにグループに迎え入れる会社として、「寄り添いながら共に成長していく」という基本方針に賛同していただける会社探しも始めました。
続く2021年からの3年で、実際に設備投資や資本提携・業務提携などを進め、新製品・新サービスの開発や新規事業への取り組みも開始しました。思い通りに進まないことも多くありましたが、それ以上に、新たにグループに迎え入れた会社の人たちや、新たな取引先様との様々な経験が、トーアミグループを成長路線へと導いてくださいました。
土木建築用資材を製造し、お客様にお届けすることを主業としてきたトーアミグループが、実際の工事まで行うグループへと変遷したことにより、工事現場のナマの声を聞くことのできるメーカーへ、メーカーのナマの声を聞くことのできる工事会社へとそれぞれが生まれ変わることができ、今後もますます、これらの相乗効果が発揮されていくことと思います。
渡部建設のグループ会社になった㈱キタウチ遊具の施工現場で、先日、こんなことがありました。古くなったブランコの鉄の鎖を取り替える作業中に、切断した鎖を地面に落としたところ、キタウチ遊具の社長さんに思いっきり叱られたそうです。曰く「落とした鎖の破片を誤って踏みつけて、土に埋まってしまったらどうなる?後で子どもが怪我してしまうだろ?」とのことです。キタウチ遊具では、鎖の破片ひとつ、ネジの1本も絶対に地面には落とさないよう、細心の注意を払っているそうです。長年さまざまな工事現場とのお取引をしてまいりましたが、こんな「工事現場」もあるとは、今まで知る術もありませんでした。
トーアミグループはこれからも、お客様の実際のご要望を伺いながらそれぞれのお客様に合ったより良い製品を生産してお届けし、資材メーカーとも協力しながら安全安心で高品質な工事を行っていく、そんな企業集団を目指してまいりたいと思います。
2024年4月
株式会社トーアミ 代表取締役社長
北川芳仁